日本の家族構造の変化:核家族が抱える問題とは
日本における家族構造は、戦後の経済成長とともに大きな変化を遂げました。
伝統的な大家族から核家族への移行が進み、現代社会では核家族が主流となっています。
しかし、この変化は多くの課題をもたらしています。
本記事では、日本の核家族が直面する主な問題とその影響について考察します。
はじめに
総務省の「国勢調査」によると、日本の家族形態は大きく変化した結果が見られ、
1950年代には、大家族(3世代同居や複数世帯同居)が主流でしたが、近年では核家族(夫婦のみ、または親と子供のみ)が増加しています。
• 1950年: 大家族が約60%を占める
• 2020年: 核家族が約60%を占める
同様に「社会生活基本調査」によると、単独世帯(1人暮らし)の割合も増加していることもわかります。
• 1980年: 単独世帯は全世帯の約20%
• 2020年: 単独世帯は全世帯の約35%
さらに、内閣府の「高齢社会白書」によれば、高齢者のみの世帯も増加しているといわれ、その数値は下記の通りです。
• 1980年: 高齢者のみの世帯は全世帯の約8%
• 2020年: 高齢者のみの世帯は全世帯の約28%
このように家族構造の変化や高齢社会が進むにあたり、どのような影響がでるのか次にみていきます。
家族構造の変化がもたらす影響
①高齢者へのケアの問題
核家族化と単独世帯の増加により、高齢者のケアが大きな課題となっています。
厚生労働省のデータによれば、要介護認定者数は増加の一途をたどっています。
• 2000年: 要介護認定者数は約200万人
• 2020年: 要介護認定者数は約650万人
現状のペースでいくと、要介護認定者数は2040年頃にピークに達し、その数1000万人程と推測されています。
一方、総務省の発表では、2021年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満)は、2020年に比べ19万人少ない1493万人、1982年から40年連続の減少となり、過去最少となっています。
少子化は加速傾向にありますので、事の深刻さが伺えます。
②子育てと教育の負担
少子化と核家族化の進行により、子育て世帯の負担が増しています。
厚生労働省の「子育て世代包括支援センター」の調査では、子育て世帯の約70%が「子育ての負担を感じる」と回答しています。
③孤立感の増加
核家族化と単独世帯の増加は、社会的孤立を招く要因となっており、総務省の「社会生活基本調査」によれば、地域社会とのつながりが薄いと感じる人の割合が増加しています。
• 1980年: 「地域社会とのつながりが薄い」と感じる人は約15%
• 2020年: 「地域社会とのつながりが薄い」と感じる人は約30%
以前の記事(社会からの孤立:影響とその対策)でも紹介しましたが、
社会からの孤立は、うつ病や不安障害などの心理的健康問題のリスクを増加させます。
また、孤立は自己価値感が低下し、孤独感や絶望感が増加する可能性があり、さまざまな問題に発展しかねません。
④経済的負担の増加
また、核家族では家庭の収入源が限られているため、経済的な不安が増しています。
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、家計が「非常に苦しい」と感じる世帯が増加しています。
• 1990年: 「非常に苦しい」と感じる世帯は約20%
• 2020年: 「非常に苦しい」と感じる世帯は約40%
〇生活費の負担となるもの
教育費、住宅ローン、介護費用などの増加により、家計が圧迫されています。
〇経済的格差
経済的に余裕のない家庭が増えることで、子供の教育機会や生活環境に格差が生じています。
【補足】
●厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、母子・父子家庭の場合の平均世帯年収は328万円程であることがわかっている。
●65歳以上の高齢者世帯の平均世帯年収は、厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、おおよそ318万円程とされている。
⑤文化的価値観の変化〜伝統と現代の葛藤〜
核家族化は、伝統的な家族構造や価値観にも変化をもたらしています。
家族間の絆や親戚との関係が希薄になる一方で、個人主義や自立の価値観が強調されるようになりました。
この価値観の変化により、世代間のギャップや家庭内での対立が増えることもあります。
日本の核家族の問題に対する対策
日本社会で進行する核家族化は、さまざまな社会的課題を引き起こしています。
これらの問題を解決するためには、政府、地域社会、企業などが連携して包括的な対策を講じることが必要です。
以下に具体的な対策を詳しく説明します。
①高齢者ケアの改善
・訪問介護サービスの拡充:
高齢者が住み慣れた自宅で安心して暮らせるように、訪問介護サービスを充実させます。これには、介護スタッフの増員と質の向上が必要です。
・介護休暇制度の整備:
介護離職を防ぐため、介護休暇制度の利用を促進し、介護と仕事の両立を支援するための柔軟な働き方の導入を企業に奨励します。
・特別養護老人ホームの増設:
公共および民間の協力によって介護施設を増設し、入所希望者の待機期間を短縮します。
・施設の質の向上:
介護施設のサービス質を向上させるための研修プログラムや評価制度を導入します。
②子育て支援と教育環境の整備
・保育施設の増設:
待機児童問題を解消するために、保育園や認定こども園の数を増やします。特に都市部での保育施設の確保を優先します。
・保育士の待遇改善:
保育士の給与や労働条件を改善し、保育士の確保と質の向上を図ります。
・育児休業制度の拡充:
育児休業を取りやすい環境を整えるため、育児休業給付金の増額や取得期間の延長を検討します。
・ファミリーサポートセンターの強化:
地域で子育てを支援する仕組みを強化し、親同士の助け合いを促進します。
・教育費補助制度の拡充:
所得に応じた教育費補助を強化し、経済的な理由で教育機会が制限されないようにします。
・学費の無償化:
幼児教育から高等教育まで、段階的に学費の無償化を進めます。
③孤立感の解消と地域コミュニティの再生
・コミュニティセンターの整備:
地域住民が集える場所を増やし、コミュニケーションの場を提供します。文化活動やスポーツ活動の場として利用できるようにします。
・地域イベントの促進:
地域のお祭りやスポーツ大会など、住民が交流できるイベントを定期的に開催し、地域の絆を深めます。
・シルバー人材センターの活用:
高齢者が経験を活かして働ける場を提供し、生きがいを持てるようにします。
・ボランティア活動の支援:
高齢者が地域のボランティア活動に参加できるよう、情報提供や活動支援を行います。
・見守りサービスの活用
今の見守りサービスはカメラやセンサーなどだけでなく、LINEを使用した見守りサービスなども普及しています。
温かさや生き甲斐などを求める方はそのような見守りサービスを通じてコミュニティを構築するのもいいのかもしれません。
④経済的負担の軽減
・子育て世帯への所得補助:
子育て世帯に対する児童手当の増額や所得税の減免措置を講じます。
・一人親家庭支援:
一人親家庭に対する支援を強化し、生活費や教育費の補助を拡充します。
・住宅ローン減税の強化:
核家族がマイホームを持ちやすいよう、住宅ローン減税を強化します。
・賃貸住宅支援:
低所得世帯が住みやすい賃貸住宅を増やし、家賃補助制度を拡充します。
⑤文化的価値観の再評価と教育
・家族教育プログラムの導入:
学校教育や地域のワークショップを通じて、家族の価値観や家族の役割についての教育を行います。
・世代間交流の促進:
高齢者と若者が交流できる場を増やし、世代間の理解と絆を深めます。
近年では手軽にオンラインで交流がとれます。お祭りや自治会のイベントだけでなく、SNSコミュニティやサービスを用いて交流ができるとよりよい社会の構築に繋がるのではないかと思います。
・柔軟な働き方の導入:
テレワークやフレックスタイム制度を導入し、家庭と仕事のバランスを取りやすくします。
・企業の家族支援制度の充実:
企業が従業員の家族を支援する制度(子育て支援、介護支援など)を導入・拡充することを奨励します。
まとめ
このように日本の核家族化は、社会全体に多くの課題をもたらしています。
高齢者ケアの問題や子育ての負担、孤立感の増加、経済的負担、文化的価値観の変化など、核家族が直面する課題は多岐にわたります。
これらの問題に対処するためには、家族支援政策の強化や地域コミュニティの再構築など、包括的な対策が必要です。
核家族が抱える課題を理解し、解決に向けた取り組みを進めることが、より良い社会の実現に繋がるかもしれません。
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家族でもたくさんの形もありますもんね。
ブログにもたくさん書いてあったので、ゆっくり読ませて頂きました😊
家族の形、関係性に普通はありません。もし課題があれば、それに適したサービスも世の中にはあるかもしれませんね。ブログをご覧いただきありがとうございます!