「学校外での学び」と「出席・成績の扱い」

教育機会確保法により、不登校は「問題行動ではない」ということ、そして「誰にでも起こりうる」ということ、さらには「学校外の学びの重要性」が記されたことが大きなポイントでした。

では、例えば民間のフリースクールや市区町村で運営される適応指導教室などの「学校外での学び」をした場合、またはICT等を利用した学びに対しての出席や成績の取扱いはどうなるのでしょうか?

1.教育の状況、基本的な考え方

令和元年10月25日「(中略)支援の在り方について(通知)」 文部科学省初等中等教育局長による通知内容に沿って、主に出席、成績に影響する文面をポイントに絞ってまとめてみます。

(中略)「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が(中略)平成29年2月14日に施行され(中略)、「登校拒否問題への対応について」(平成4年9月24日付け),「不登校への対応の在り方について」(平成15年5月16日付け),「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」(平成17年7月6日付け)及び「不登校児童生徒への支援の在り方について」(平成28年9月14日付け)については本通知をもって廃止。

○「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく,自らの進路を主体的に捉えて,社会的に自立することを目指す必要がある。また,学業の遅れや進路選択上の不利益や社会的自立へのリスクが存在することに留意。

○民間施設等の学校外の施設において指導を受けている場合,在籍する学校がその学習の状況等について把握することは,学習支援や進路指導を行う上で重要である。当該学習の評価を適切に行い指導要録に記入したり,また,評価の結果を通知表その他の方法により,積極的に伝えたりすることは,学習意欲に応え,自立を支援する上で意義が大きい。

(別記1)

○当該施設における相談・指導が社会的な自立を目指すものと評価できる場合、校長は指導要録上出席扱いとすることができる。

(別記2)

○自宅において学校外の公的機関又は民間事業者が提供するICT等を活用した学習活動が、登校が可能となるような学習活動であり、かつ生徒の自立を助ける上で有効・適切であると判断される場合、校長は、指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価に反映することができる。既にある基準の有無に関わらず、今の時代の状況にあったものになるよう見直すこと。

○ICT等を活用した学習活動とは、ICT(コンピュータやインターネット、遠隔教育システムなど)や郵送、FAXなど

○対面指導が適切に行われることを前提とし、学習支援や将来の自立に向けた支援などが定期的かつ継続的に行われること

○基本的に生徒が相談・指導を受けられないような場合に行う。対面指導が適切に行われることを前提。

○学習活動の成果を評価に反映する場合には、学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育活動に照らし適切と判断される場合であること。

○程度を超えて長期にわたることを助長しないよう留意すること。

○出席扱いの日数の換算については、対面指導の日数や学習活動の時間などを基準とした規定等を作成して判断する。

(別紙留意点)

○出席扱いとした場合、その成果を評価に反映しなければならないわけではありませんが、自宅における学習状況を所見欄に文章記述するなど、学習の努力を認め、適切な記載がのぞまれます。学習履歴や学習時間、確認テストの結果などに基づいて評価を行うことも考えられます。

○出欠状況については、進路選択の妨げになる場合もあることから、学習等に対する意欲やその成果を認め、適切に評価することは、自己肯定感を高め、社会的自立を支援することにつながる。

2.まとめ

本来、教育活動と評価はセットであるべきです。

しかし、学校外の学び(教育活動)があったとしても、公的な出席扱いや評価の有無については残念ながら、通達の文言通り、各学校での判断に任されている状態です。

学校外の学びを検討している際には、この根拠に基づいた知識や考えをもっていないと、後々「こんなはずじゃなかった」という主に進路選択の場面で不利益を被る場合もあります。

また、実際の教育現場でもしっかり把握されてないケースも多いです。

通達に対しての受け取り方は、文部科学省→県の教育委員会→市区町村の教育委員会→各学校長という流れの中で振れ幅があります。

ぜひこの通達内容のポイントについてはおさえていただきたいです。

さらに残念なことは、「学校外での学び」は、重要性は示されたのも関わらず、多くの学校の姿勢として積極的に把握し、出席として扱い、成績に正しく評価することは稀なのが現状です。

正直な話、フリースクール等に通って毎日通学(この時点で不登校ではありませんが)していたとしても、籍を置く学校が、それを適切に扱い、評価していることの方が少ないのです。

学校には権限はあるが、やらない、できない、事例がないで出席の扱いもされず、成績は1や空欄ということがほとんどなのは、認められる学校外施設の教育環境の基準、カリキュラムの基準などの判断基準が明確ではないためです。

方針は出ても、How toの構築がなされていないことと、フリースクールにおいても規模や教育活動、教育目的などが様々なことが起因しているように思います。

今、不登校と位置付けられた生徒が、学校外の学びをし、それぞれの課題や将来に向き合い、成長している姿勢・努力が広く正しく評価され、応援、支援されるよう願っています。

〜紹介〜

「オンライン担任」がつく「ワライグマLINE」は、出席や評価に捉われすぎず、まずは基本的な人の欲求や性質、安全や幸せをベースに見守りと教育サービスをしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です