孤独・孤立対策推進法:孤独社会に光を灯す新たな一歩

厚生労働省の調査によると、2019年の段階で「孤独を感じる」と答えた人は全体の約40%を占めています。

特に高齢者の孤独感が深刻で、65歳以上の約30%が「頻繁に孤独を感じる」「近所に相談できる人がいない」と回答しています。

また、孤独感は健康に深刻な影響を与えるとされています。

(例)

・うつ病や不安障害などの精神的な問題のリスクが高まる。

・高齢者の孤独感は認知機能の低下や認知症のリスクとも関連している。

・高血圧、心臓病、免疫機能の低下などの身体的な健康問題とも密接になっている。

このように、「孤独」は心身の健康への負担が大きく、さまざな問題に発展しかねません。

孤独・孤立対策推進法とは?

孤独・孤立対策推進法は、2021年に制定された法律で、社会的孤独や孤立の問題に対する包括的な対策を講じるために設けられました。

この法律の主な目的は、孤独や孤立が個人および社会全体に及ぼす影響を軽減し、人々が相互に支え合うことのできる共生社会を実現することです。

法律制定の背景

孤独・孤立対策推進法が制定された背景には、いくつかの社会的な要因が関与しています。

⑴少子高齢化

日本では少子高齢化が進行しており、独居高齢者が増加しています。

高齢者の中には、配偶者を亡くしたり、子どもが遠方に住んでいたりして、日常生活で孤独を感じる人が増えています。

【補足】

①高齢者人口の割合と数

2023年時点で、65歳以上の高齢者が総人口に占める割合は約29.1%でした。これは、約4人に1人が65歳以上であることを意味します。

具体的な数値で表すと2023年の高齢者の総数は約3,670万人といわれております。さらに、この数値は年々増加傾向にあり、今後もこの傾向は続くと予想されています。

②出生数の減少

2023年の出生数は約80万人でした。これは前年の約81万人からさらに減少しており、戦後最少の水準です。

⑵核家族化

核家族化の進行により、従来の大家族の形態が減少し、家族や地域コミュニティの支えが薄れる傾向があります。これにより、孤立感を感じる人が増えています。

【補足】

日本の家族構造の変化:核家族が抱える問題」で核家族化について記述しておりますので、あわせてご覧ください。

⑶社会的つながりの希薄化

仕事や勉強に追われる現代人は、近隣や地域社会とのつながりを持つ機会が減少しがちです。

特に、都市部では隣人との交流が少なく、孤立感を深める要因となっています。

【補足】

内閣府の「社会生活基本調査」(2021年)によると、地域社会との交流頻度も希薄化しており、その状況は以下のとおりです。

隣人との付き合い頻度:
• ほとんどない:43.2%
• 月に1~2回:21.8%
• 週に1~2回:19.6%
• 毎日:15.4%

また、内閣府の「国民生活基礎調査」(2022年)によると、知人や友人と会う割合が下記のようになっています。

友人・知人と月1回以上会う人の割合:
• 2020年:58.2%
• 2022年:52.7%

これらのように、都心部への人の流入やSNSの普及など、さまざまな理由によって地域社会や社会的なつながりが希薄化しています。

主な内容と施策

孤独・孤立対策推進法には、次のような施策が盛り込まれています。

⑴国と地方自治体の責務

国および地方自治体は、孤独・孤立対策を積極的に推進する責務を負っています。これには、計画の策定、支援施策の実施、啓発活動の展開などが含まれます。

(例)

①地域協議会の設立

各自治体は、孤独・孤立対策に関する地域協議会を設立し、行政、民間団体、地域住民などが協力して課題解決に取り組んでいます。

例えば、鳥取県では「孤独・孤立を防ぐ温もりのある支え愛社会づくり推進条例」を施行し、地域での見守り活動を強化しています。

②見守り活動

自治体は高齢者や一人暮らしの人々を対象に見守り活動を展開しています。

これには、定期的な訪問や電話での安否確認、地域住民との交流イベントの開催などが含まれます。

足立区では、高齢者の孤立を防ぐために「見守りネットワーク」を構築しています。

このネットワークでは、地域住民やボランティアが協力して定期的に高齢者の自宅を訪問し、安否確認を行います。

また、地域のイベントや交流会を通じて、孤立しがちな高齢者が地域社会とつながりを持つ機会を提供しています。

③総合相談窓口の設置

孤独や孤立に関する悩みを抱える人々が相談できる総合窓口を設けることで、迅速かつ適切な支援を提供しています。

神奈川県横浜市では、専門の相談員が対応する窓口を設置し、心理的サポートや生活支援の情報提供を行っています。

④デジタル技術の活用

デジタル技術を利用して孤独や孤立を防ぐ試みも進められています。

札幌市では、「地域見守り活動推進事業」を展開しています。

この事業では、地域のボランティアが高齢者や障がい者の自宅を定期的に訪問し、安否確認を行います。

また、デジタル技術を活用して、スマートフォンアプリを使った見守りサービスも導入し、孤立しがちな人々が地域のサポートを受けやすくしています。

⑵孤独・孤立対策担当大臣の設置

政府内に孤独・孤立対策担当大臣を設置し、総合的な政策立案と調整を行うことにより、効果的な対策を推進します。

⑶地域の繋がりの強化

地域コミュニティの活性化を図り、住民同士の交流や支え合いを促進するためのプログラムやイベントの開催を推進します。

⑷相談支援の充実

孤独や孤立を感じる人々が気軽に相談できる窓口を設置し、専門的な支援を提供する体制を整備します。また、オンライン相談や電話相談など、さまざまな方法でのアクセスを可能にします。

⑸データ収集と研究

孤独や孤立の実態を把握するための調査研究を行い、その結果を基に効果的な政策を策定します。また、国内外の事例を参考にしながら、継続的な改善を図ります。

今後の課題と展望

孤独・孤立対策推進法の施行により、多くの人々が孤独や孤立から救われ、社会全体が支え合う体制が整うことが期待されています。

しかし、以下のような課題も残っています。

⑴地域ごとの対策の充実

地域ごとに異なる実情に合わせた対策が求められます。各自治体が独自の取り組みを展開し、効果的な支援を提供することが重要です。

⑵持続可能な支援体制の確立

支援体制を継続的に維持するための財政的支援や人材育成が必要です。また、地域コミュニティやNPO法人などとの連携を強化し、支援のネットワークを広げることが求められます。

⑶啓発活動の推進

孤独や孤立に対する社会全体の理解と関心を高めるための啓発活動が重要です。

特に、学校教育や企業研修などを通じて、孤独や孤立の問題を広く認識してもらうことが求められます。

まとめ

孤独・孤立対策推進法は、これらの課題に取り組みながら、誰もが安心して暮らせる共生社会の実現を目指しています。

法の施行とともに、具体的な取り組みや支援体制の強化が期待されます。

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孤独・孤立対策推進法:孤独社会に光を灯す新たな一歩” に対して2件のコメントがあります。

  1. TAKAHIRO より:

    すごい。分かりやすくて、たくさん読んじゃいました(*^^*)また楽しみにしてます ᵕ̈*

    1. ラフベアー より:

      ブログをご覧いただきありがとうございます。社会的孤立は個々の状況にあった対策が必要です。ワライグマLINEがその一助になるようサービス向上に励んでまいります!

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